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「アラン・カルデックの霊との対話」からの一部引用
(義務にそむかないために情死した二人)

ルミール嬢は、婦人帽を扱う店を開き、両親と一緒に住んでいた。魅力的な容姿に恵まれていたが、それのみならず、愛すべき性格も備えていた。そのために、引く手あまたであった。言い寄る男たちの中でも、彼女は、特に、彼女に対して激しい情熱を示していたB氏を憎からず思っていた。しかし、両親の意向に従ってD氏と結婚しなければならないと考えていた。D氏の社会的地位から見て、より彼女に相応しいと両親が考えていたからである。B氏とD氏とは、皮肉なことに、仲のよい友人同士であった。特に、これという理由があったわけではないが、二人は頻繁に会っていた。
D夫人となったパルミールと、B氏のあいだの愛は、いささかも弱まることがなく、二人がそれを抑えようとすればするほど激しくなるのであった。その愛を断ち切るためにB氏はみずからも結婚しようと決心した。彼は、多くの美質に恵まれた若い娘と結婚し、何とか彼女を愛そうと試みた。しかし、間もなく、この英雄的な行為が何の意味もなかったということを彼は悟る。
とはいえ、四年のあいだ、B氏もパルミールも、それぞれの義務に背くことはなかった。
彼らの苦しみは、表現されてはならない類のものだったのである。
ある日、偶然の導きで二人きりになったB氏とパルミールは、お互いの心のありかを確かめ合った。そして、その結果『二人が感じている苦しみに対する最良の薬は死である』という共通の見解に達した。かくして、二人は情死を決意し、翌日、D氏が家を留守にしているあいだに計画を実行することにした。
死出への旅支度を整えた二人は、感動的な、長い手紙をしたため、その中で、『それぞれの配偶者としての義務に反することのないように、二人で死を選ぶ』ということを、縷々(るる)、説明した。手紙の最後で許しを乞い『二人の遺体を同じ墓に埋葬してくれるように』との願いを付けたした。
帰宅したD氏は、二人の遺体を発見した。そして二人の最後の願いを尊重して、遺体が別々にならぬように、同じ墓に埋葬しました。
このケースを、パリの霊実在主義協会で研究テーマとして扱った際に、ある霊から次のような霊示を受けた。

「自殺を図った二人は、まだ、あなたがたの質問に答えることができません。私には彼らの姿が見えますが、二人はお互いに引き離されており、まだ混乱しており、『永遠に苦しむのではないか』と恐れおののいています。今後、何度も霊界と地上を行き来しますが、そのあいだじゅう、片割れとなった二人の魂は、絶えずお互いを探し求め、予感と欲望のあいだで激しく引き裂かれて苦しむこととなるでしょう。でも、やがて償いが完成し、二人は永遠の愛に結ばれるようになります。
八日後に開催される次の集いでは、おそらく二人を招霊することができるでしょう。二人とも、ここにやってきますが、二人がお互いを見ることはできません。深い夜の闇が二人のあいだを隔てているからです。それは今後も長きにわたるでしょう」

(八日後の招霊で、パルミールとの対話)
―あなたが一緒に自殺した、愛する人は、見えますか?
「何も見えません。私のまわりを徘徊している霊たちの姿さえ見えないのです。
何という夜。何という深い闇、何という厚いヴェールが私の顔にかかっていることでしょう」

―死んだあと目が覚めたときに、どのような感じがしましたか?
「とても奇妙な感じでした。寒いのに、一方で焼けるように熱いのです。血管の中を氷のような血が流れ、しかも、額には火が燃えているように感じられるのです。なんて奇妙なことでしょう。こんなことは一度も経験したことがありません。氷と火が同時に襲いかかるのです。また死ぬのではないかと思いました」

―肉体的な苦しみは感じあられますか?
「苦しみが、そこにもここにも感じられます」

―「そこにもここにも」とは、どういう意味ですか?
「『そこ』とは私の頭『ここ』とは私の心です」

―ずっと、そうした状況に置かれると思いますか?
「『ずっと』ですって? ずっと、この状況に? そう言えば、ときどき、地獄的な笑い声が聞え、恐ろしい声が聞こえますが、その声は、こう言っています。『そうだ、ずっとそのままだ!』と」

―いいえ、そんなことはありませんよ。誓って申し上げますが、いつまでも、そうした状況が続くわけではありません。悔い改めによって、必ず許されます。
「何ておっしゃったのですか? よく聞こえません」

―繰り返します。あなたの苦しみには必ず終わりが来ます。そして、悔い改めによって、その時期を早めることができるのです。また、私たちも、お祈りによって協力いたしましょう。
「一つの単語しか聞こえません。あとの単語はぼやけています。その単語は『恩寵』という単語です。あなたは恩寵についてお話をしているのですか? あなたが恩寵について語ったとすれば、それは、たぶん、泣きながら私のそばを通っていくかわいそうな子供の魂のためでしょう?」

(このとき、ちょうど、協会のメンバーの一人のある女性が、彼女のために神に祈ったところであった。この祈りがパルミールの霊の耳に届いたのであろう。なぜなら、この女性は「彼女のために神の恩寵がありますように」と祈ったからである。)

―あなたは、「いま、闇の中にいる」とおっしゃいました。ではわれわれの姿は見えないのですか?
「あなたの言葉のうち、あるものを聞くことはできますが、目に見えるのは、黒い布のようなものだけで、ときどき、そこに泣いている顔が現れます」

―あなたの恋人が見えないとしても、その気配は感じられるのではないですか? 彼は、ここに来ているのですから?
「ああ、あの人のことは話さないでください! しばらくのあいだ、あの人のことは忘れていなければならないのです。この黒い布から、泣いている顔が消えてくれればよいのに!」

―それは誰の顔なのですか?
「苦しんでいる男性の顔です。私は、地上で、その人のことを、長いあいだ、心から消し去っていたのです」

新聞の記事を読んだかぎりでは、われわれは「この情死には情状酌量の余地があり、また、義務を守ろうとして為された自殺であるので、むしろ立派な行為でさえある」と考えたくなる。しかし、現実には、それとはまったく違った判定が下されている。二人は、心の闘いから逃れようとして、死に逃げ込んだのであるから、死後の苦しみは、長く、また厳しいものとなったのである。
夫婦の義務に違反しまいとしたことは、確かに評価できるだろう。いずれ、そのことは斟酌されるはずである。しかし、彼らが、逃げ出さずに訓練を最後までやり遂げる必要があったのだ。
すでに見たように、この二人にとっての罰は、「お互いに思い合っていながら、会うことができない」という状況に置かれることである。それは、霊界においてもそうであるし次回に地上に転生したときもそうなるのであろう。
いまのところ彼女は、「この状態が永遠に続くのではないか」と思って恐れおののいている。これも彼女にとって罰の一部をなしているので、われわれが発する希望の言葉を彼女は聞くことができない。
その苦しみが、たいへん恐ろしく、また、たいへん長く続くと思っている者たちに――特に、それが何度もの転生を経たあとでなければ解消しないということであれば、なおさらであるが――、「その期間は絶対に変わらないわけではない」ということを教えてあげたいものだ。試練にどのように対処するかによって、その期間は変わってくるからである。
また、われわれが祈りによって支援することも可能である。
彼らも、あらゆる霊と同様、みずからの運命を決定できるのである。
それは、確かに厳しい道のりではある。


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